現在のアメリカのメジャー・カントリー・シーンはシャナイア・トウエイン、マルティナ・マクブライド、ワイノナ、フェイス・ヒル、トリシャ・イヤーウッド、テリ−・クラーク、リー・アン・ウオ−マックといった女性カントリー・シンガーたちによる、まるでポップスそのものといったポップ・カントリーの時代が依然として続いています。ロックやポップやストレート・カントリー、最近ではブルーグラスまでカバーしたカントリーが長らく続いている男性カントリー・シーンに比べ、なんと歌姫たちの迷いのないカントリー世界でしょう。確信に満ちた華やかなカントリーは絶える事のない美人歌手の登場もあいまって、音楽的にもメディア的にも頂点を極めた感があります。
しかし、一方で最近のほとんど多くの女性歌手たちの功なり名を遂げた歌手たちの、音楽性もキャラクターにも酷似したパターンの作品を再生産したような安易なカントリーに警鐘が鳴らされているのも事実です。そうした風潮に応えるように、なかには自分は違うとばかりに貪欲にカントリーを切り開き、挑戦をしかけている歌姫もあらわれています。
今年の「カントリー・ゴールド」に初登場するジル・キング、彼女はそうしたパターン化された女性カントリー・シーンからの脱脚願望も聞きとれる期待の人。「レッドネック・ウーマン」で現在ブレイク中のグレッチエン・ウイルソンと並ぶ逸材といわれています。
ジル・キングは1974年アラバマ州の生まれ。南部バイブル・ベルトの宗教一家出身の例にもれずジルも教会音楽を通してカントリー音楽に親しみ、幼くして家族と共に音楽活動を経験、ナッシュビルの名門校バンダービルド大学で英文学を専攻する傍らカントリー・バンドでうたいプロ歌手を目指したといわれます。大学卒業後のジルはナッシュビルのダウンタウンにあるブロードウエイ、5番街の「レジエンド・コーナー」「トウッティズ」から「グルーン・ギター」にいたる道沿いに軒を連ねるホンキー・トンク・バーや郊外にあまたあるカントリー・クラブのクラブ・サーキットで歌い、並みの新人歌手からは得がたい新旧カントリーを自在に歌うことの出来る実力が認められスカウトされました。
ブレント・メイソン(ギター)、マイケル・ジョンソン(ステイール)、ラリー・フランクリン(フイドル)、エデイー・ベイヤーズ(ドラムス)、グレン・ウオーフ(ベース)といった夢のようなナッシュビル・スーパー・ピッカーズにバックアップされたファースト・アルバム
[JILLBILLY] (ブルーダイアモンド/'03) からシングル・カットされデビュー・ヒットしたハードなポップン・カントリー・ロックで聞かせる
"One Mississippi" の輝くドスのきいた美しさ。そして、古典的ノスタルジックな陰りを帯びたホンキ・トンクを今様ストレート・カントリーの華やかさで包んでアピールし、伝統の輝きの素晴らしさを再認識させてくれる"98.6o"
"Down 'n' Out" "After All"。
また、女性の香りを感情豊かに濃密に歌いあげる "Not Knowing Anymore"。
"Three Month, Two Weeks, One Day" "Hand Me Down Heartache"
ではダニー・リーやへザー・マイルズを彷彿させてくれる。
昨今の新人歌手やカリズマ・アイドルとは一味も二味も違った期待にたがわぬパフォーマンスを「カントリー・ゴールド」で披露してくれることでしょう。
.
ミュージシャンは、ラリー・ナッター(ギター)、スーザン・ローラー(フィドル)、デイブ・スパック(ドラムス)、アラン・リー・スタンホープ(ベース)。